ちょっといっぷく 第22話
第22話 「IT」とは何者ぞ(2)
IT革命で経済や世の中はどう変わるのだろうか。
引き続き松原教授の説を引用させてもらおう。
ネットに乗せられるもの例えば音楽・新聞や書籍・ビデオ等さらには保険などの契約・銀行取り引きなどはネット上で完結する。銀行はインターネット上で行えば支店運営コストが節約できる分、預金者に高金利が提供される。
生保の場合、セールスレディを中心にした対面販売に頼る時代は終わる。つまりインターネット上で遠慮なく各社の保険商品を比較して、自分にあった保険を実際にシミュレーションしながら決めていく時代になる。
無店舗、営業マンなしの小さな証券会社がたった一つのホームページで大手証券会社の全国ネットの支店網と対抗できる。支店コストの要らない分だけ手数料は4分の1で済む。
我々が目指すコストを限りなく0に近づけることが可能となり、それを実現し得た者が価格競争で優位にたち勝利者となる。小が大を食い、国内外から異業種が参入、IT革命によって業界の勢力図が大きく変わろうとしている。
福祉はIT革命の恩恵を最も受けやすい分野だといわれる。電気ポットを使った高齢者の「安否確認システム」が開発されたことが新聞で報道されていた。またCATVは単なる「テレビの有線放送システム」ではなくなり、ネット社会のインフラになる。
携帯電話はすでに小型パソコンと化している。手元の携帯電話で、今自分がどこにいるか、その周辺の地図が表示、2001年になると画面が今の2倍くらいになりホームページも見やすく、テレビ電話も可能になる。ゲームや音楽、漫画や新聞なども配信される。
業種によって卸業や、場合によっては小売店までもなくなってメーカーと消費者がネット上で直結、取引が完結するかもしれない。
これらは、ホンの一例にすぎないが、『産業革命』以来の『IT革命』という意味が少しは理解できるのではなかろうか。
IT革命がなぜ経済浮揚になるのだろうか。パソコンは物凄い勢いで進化しているので、新陳代謝が進み新しい機械がドンドン出てくるし、放送のデジタル化で、現在のテレビがすべて廃品になる可能性だってある。IT関連の産業は益々活気づいてくるだろう。
光があれば影もある。ネット社会でITを使いこなせない者が不利にならないか。教育やみんなが使いこなせる社会システムを作り上げる必要がある。既存の産業が破壊されることで大量の失業者の発生。国境を越えてくるモノやサービスが移動した場合、関税や消費税はどうなるのか、プライバシーが丸裸になる可能性だってある。当然解決すべき問題である。
70歳以上を対象にした余暇活動調査でパソコンをやりたいが3番目にランクされたとか、それに刺激されたわけではないが、百聞は一見に如かず、パソコンを買い込んで走りながら勉強するとするか。何事も出発に年齢は関係ないというではないか。
(島原商工会議所会頭)
2000年(平成12年)11月7日