ちょっといっぷく 第40話
第40話 大阪は今…USJの挑戦
東京での日本商工会議所総会の帰途、大阪に立ち寄った。雑誌等で大阪は、失業率日本一、ホームレス数も東京以上、2007年に倒産(財政再建団体)の確立は100%だと報道されており、少々気になっていた。
「全国初の女性知事」として華々しく登場した太田女史もご苦労の多いことと推察されるが、強制わいせつ事件で地に落ちた、前のノック知事の評価が、こと財政再建に関しては評価されているというから面白い。
側近にまとめさせた財政再建プログラムはこれまでの役人の常識を覆したもので、抜本策には程遠いが、並みの知事なら尻込みするようなことを、「苦渋の決断だ、府民に痛みを分かち合って欲しい」とせっせと訴え、自らも給与を一部カットし議会を通してしまった。府の幹部は「府民に深刻な財政事情を理解させた功績は大きい。あの事件さえなければ名知事として名を残せたかもしれない」というわけである。
大阪府民もただ手をこまねいて傍観しているわけではない。心斎橋周辺の若者文化のメッカであるアメリカ村等は、休日になると30万人もの若者が押しかけ年間数千億円をこの街に落とさせており、近くの街も個性のある若者達が原動力となって急変貌を遂げている。
この時、大阪活性化の起爆剤として突然現れたハリウッド風のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が3月31日オープンする。朝日新聞大阪本社の横谷デスクから、USJに関する資料をいただいた。
USJは住友金属などの旧工場地域を利用、映画を題材にしたテーマパーク。ハリウッドとフロリダでテーマパーク事業を手掛けているユニバーサル・スタジオ社の海外進出第一号だ。敷地面積54ヘクタールで、18のアトラクションのほか、45のレストランやショップなどからなっている。東京にディズニーランドがファミリー層をターゲットにしているのに比べ、USJは、大人向けでアクション色が強い。男性でも楽しめるし、アルコールもOK。アトラクションは、映画のシーンや撮影現場を疑似体験する。
総事業費1,700億円、資本金400億円、大阪市が25%出資の筆頭株主で、いわば外資系第三セクターによるオール大阪プロジェクトともいえる。
初年度の入場者数850万人、客単価は1万円弱を見込み、売上高は約800億円を計画。問題はリピーターの確保だが、開業後2年ごとをメドに100億円程度を新規のアトラクションに投資することを決めている。閑散期のスペシャルイベント開催や、企業の代理店慰労会など団体行事向けの貸し切り、開業ブームが落ち着いたら年間パスポートや夜間割引き券の発行等で1,000万人の集客は可能という。
オープンを目前にして関西地域で前人気は上々だそうだ。波及効果へ賭ける期待も大きい。当地雲仙岳災害記念館(仮称)の運営上、参考にならないか。
(島原商工会議所会頭)