ちょっといっぷく 第24話
第24話 マッカーサーと「青春の詩」(2)
さて、前置きが随分長くなったが、本題に入ろう。
マッカーサー元帥は終戦前から「青春の詩」を座右の銘とし、連合国軍総司令部(GHQ)の部屋にもこの詩を掲げ、日々愛誦していたそうだ。日本でも電力の鬼ともいわれた松永安左エ門、経営の神様といわれる松下幸之助、トヨタの石田退三など名経営者の多くの人達が金科玉条と仰いだ詩句である。
第一生命館、マッカーサー記念室には「青春の詩」全文がレリーフとして残されている。
「青春」 原作 サミュエル・ウルマン、邦訳 岡田義夫
青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増やすが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、孤独や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は70であろうと16であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、その輝きにも似たる事物や思想にたいする欽仰、事に処する剛毅な挑戦小児の如く求めてやまぬ探究心、人生への歓喜と興味。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる。
人は自身と共に若く 恐怖と共に老ゆる。
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる。
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力の霊感を受ける限り、人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、皮肉の厚氷がこれをかたくとざすに至れば、この時にこそ人は全くに老いて、神の憐みを乞うるほかはなくなる。
苦難に遭遇しても屈せず、人生に対する情熱を常に燃やし続けるみずみずしさ、素直に前向きに取り組む姿勢、これが青春を保ってゆく秘訣であることを美しく表現した素晴らしい詩である。
ある経営者は、会長職を辞めるとき、この詩を印刷し知人・友人に1,500部配布したという。
(島原商工会議所会頭)
2000年(平成12年)11月21日