ちょっといっぷく 第87話

第87話 人生語録

人間1日1日を大切に生きていく上で、指針ともなるべき著名人の語録を集めてみた。

これは飯塚良夫さんという、私の息子が卒業した大学の先輩で、自動車販売会社の社長をしていた人が書いた『悠々もどき』からの引用である。

読者諸氏に1つでも2つでも示唆するものがあれば望外の喜びである。

なお肩書はすべて語録を残した当時のものであることをお断りしておく。

■元気だから引退したんだよ。元気がなくなってから引退したって何がおもしろいかね。体が丈夫なうちに引退して余生を楽しむから、それに人様のところへ恩返しに飛ぶことが出来るからいいんだよ。                                 (本田宗一郎訓より)

■戦国の世において、武士がすべて主家に忠誠を誓った訳ではない。無能な殿であれば家来の方から縁を切った。それだけ個人は命がけであった証拠である。    (メビウス企画研究所 下村彰義)

■脱サラにしろ、転職にしろ、金に目がくらんだ奴で成功した者はいない。

(住友財閥代表者 小倉正恒)

 ■各自に少しずつ不満が残るような人事。これが一番公平な人事なんです。その不満はすなわち「うぬぼれ」ですから。                     (日銀政策委員 村本周三)

■実力のない人は、リーダーにたり得ません。そんなリーダーは、部下から見ると信頼出来ないし、希望も持てません。

又部下が何か言ってきたら、よく気がついたと褒めてやらないと、そのうち大切な情報が集まらなくなってしまう。                   (元日本海軍戦闘機隊隊長 坂井三郎)

■与えられた部下をいかに活用するかが管理職に求められる能力なのに、それを考えないで、この男はどうも能力が落ちると考える人が多い。人を活かす使い方をしないで企業が生きる訳がない。

(深田祐介著「サラリーマン野戦学」より)

■部下をわがままに使うな。走り使いのように仕えてくれる部下がいれば便利このうえない。しかし雑用で疲れさせては、人は絶対に育たない。雑用を器用に処理する者の中には、変に気配りのきく者が必ずいる。わがままに部下を使うのに限って、「部長」「部長」と歯の浮くようなことを言われて有頂天になるバカがいる。こうした上下の組み合わせができたとしたら非常に危険だ。

(TDK会長 秦野福次郎)

■ものをはっきりということは冷たさの表現です。リーダーにとって思わせぶりは一番いけないことだと思う。思わせぶりは、その場はいやな思いはしないですむが、必ずあの時はっきりと言っておけばよかったということになります。それと同時に相手に思い違いの迷惑をかけます。いいにくい事は真っ先に言わねばいかんと思います。      (全日本バレーボールチーム監督 松平康隆)

■管理職四訓

己に寛にして人に対するに厳なる者は「悪」

己に厳にして人に対するに厳なる者は「酷」

己に寛にして人に対するに寛なる者は「愚」

己に厳にして人に対するに寛なる者は君子人

*地位の高い人、偉い人にたくさんお目にかかった。素顔はみんな普通の人で、人間としては私たちとそんなに違いはないのではないかと思った。共通しているのは威張らない点である。大きな人物ほど自分の力をいたずらにひけらかさないものである。      (アサヒビール名誉会長 樋口廣太郎)

■現在の組織はともすると個人を画一化し、石で言えばブロックとして積み上げるため、個々の違いを抹消しかねない。昔の城壁の積み方に、野にある自然の石をそのままの形で積み上げ調和をつくる「野面積」というのがある。今組織で、求められているのは、ブロック積ではなく野面積ではないか。                                (日経ビジネス誌より)

■人間生まれたままの姿で死ぬのは恥ずべきことだ。            (作家 森鴎外)

■ヨーロッパに於いて「リッチ」というのは単に金持ちというだけでなく、そのお金を使って十分に遊ぶ時間がある人を言う。

ヨーロッパでは「お忙しいですか」と相手に聞くことは「あなたは食べることに精一杯で、遊ぶ時間はないでしょう」という意味になる。                 (評論家 草柳大蔵)

■日本の会社は、和の社会 情緒の社会だから「顔を立てる、立てない」、「聞いてる、聞いていない」といったことが非常に大きくものを言う。誰かが文句をつけたら、表面上の理由はともかく、裏に必ず「面子」の問題がひそんでいると考えた方がよい。 (深田祐介著「サラリーマン野戦学」より)

■過ちはあってもいい。取返しのつかない過ちというものは過ちに気づかぬことである。

(哲学者 キケロ)

 ■すでに生命の終わりに近づいた老人にとって、草花を育てることや孫の相手をすることが大きな楽しみになっているのは、ただの暇つぶしというよりも、むしろ若い生命の中にみられる変化と成長がそのまま自分のものとして感じられるからだろう。   (神谷美恵子著「生きがいについて」)

(前島原商工会議所会頭)

2003年10月28日

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