ちょっといっぷく 第99話 三題噺

第99話 三題噺 その3、よき友3つあり

よき友、3つあり。1つは、物くるる友。2つには医師。3つには、知恵ある友

兼好法師『徒然草』の一節である。『徒然草』は700年位前の時代に生きた兼好法師(のちの吉田兼好)が書いた随筆であるが、日本人のよき生き方の指南書、心の持ち方の手本といわれる。名文の誉れ高く、「枕草子」「方丈記」と並んでわが国三大随筆の1つにかぞえられている。

三題噺の3つめは、プライベートな話になって誠に恐縮ではあるが、この表題に関連があると思い厚顔もかえりみず敢えてかくことをご容赦願いたい。

昨年の4月半ば、40年来の東京の友人から突然電話があった。どうも調子が異常なので「どうしましたか」と尋ねた。

友人は息も絶え絶えに「呼吸困難なんだ、この前あなたの知り合いが東京の病院にいることを思い出した。至急診察をお願いしたい」というのである。

東京には私の姉の子供の嫁が虎の門病院に女医として勤務しており、早速電話を入れた。幸運にも当日在院中で「すぐに寄超しなさい」との返事、友人にその旨連絡をとった。

病院ではその間、ぬかりなく受け入れ態勢がとられ、検診の結果、即入院となり危ういところで命を取り止めた。

急性肺炎で、肺に水がたまり、私の自宅にかかった経過報告の電話では、早かったからよかったものの非常に危険な状態だったという。まさに危機一髪であったのだろう。

一命を取り止めた友人は、現在海外旅行を楽しんだり、ゴルフをしたり、酒も昔並みに飲んで人生を楽しんでいる。

この女医先生、1980年6月首相在任中に急死した元内閣総理大臣大平正芳氏の主治医で、臨終に立ち会った経歴の持ち主である。

その夫、つまり私の甥も医者で、昨年4月から大阪市立大学医学部付属病院の病院長に就任している。同大学病院はベッド数1,020。1,300人の職員1日に3,000人の外来患者があるマンモス病院である。

本年度から独立法人化という環境のなかで、八面六臂の活躍をしているのは頼もしいことではある。

2人の間にできた息子は、現役で東大医学部に入学したが、父母の厳しい生活を見て医者がイヤになったのか、途中で法学部に転部し、昔の自治省いまの総務相で働いている。

私の息子も弁護士業をはじめて約15年、今年43歳になるが、このたび4月1日から長崎県弁護士会の副会長に選任され、50歳になって会長を勤めた。

かくて兼好法師のいう2つについて、条件は満たしたが医師の方は、東京・大阪だし、私自身が直接お世話になることはまずなかろうと思うが、弁護士は近くにいて会社経営の上で、百万の味方を得た思いで心強い。

あと「物くるる友」というのはどうも縁がなさそうだ。

いずれにせよ友人ではなくて身内の話になってしまったが、彼等が世間のために幾らかでも役立っていると思えば嬉しい。

ひるがえって私自身はどうかというと、相も変わらず金にならない企業再生に汗を流しているが、これも社会に対する報恩だと思えば楽しいものである。

2005年4月6日